熱帯の木は炭素吸収源ではないかもしれない
Nature Geoscience
2014年12月16日
これまでの過程とは反対に、過去150年間にわたる大気中CO2濃度の増加は熱帯の木の生長をより加速することはないという報告が、今週のオンライン版に掲載される。CO2濃度の増加は熱帯の木の生長を加速し、大気から炭素を取り除いて気候変動を減速させる可能性があると仮定されてきた。
Peter van der SleenとPieter Zuidemaたちは、ボリビア、カメルーンおよびタイの熱帯森林で得られた年輪を分析した。彼らは、過去150年間にわたる大気中CO2濃度の増加により、予想されたように熱帯の木が光合成をより効率よく行うようになったことを見つけた。しかしながら、木の成長速度を反映している年輪の幅は、低木層(日陰に棲息)と樹冠のどちらでも、高いCO2濃度の結果として成長が増加した証拠は示していなかった。その代わりに年輪データは、熱帯の木はこれまで考えられていたように、大気中CO2濃度の増加に対する吸収源にはなり得ないことを示唆している。この発見は、気候変動が炭素循環に及ぼす影響に対するこれまでの考え方に改訂の必要があることを示している。
関連するNews & Viewsの記事でLucas Cernusakは次のように書いている。「なぜ年輪記録の結果が森林目録からの観測とモデル予想から外れているかについてさらに研究することは、CO2濃度の増加と気候変動が熱帯森林と全球炭素循環にどのように影響を及ぼすかを理解するために重要である」。
doi:10.1038/ngeo2313
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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