Research Press Release

【材料】3Dプリンティングを四次元に展開

Scientific Reports

2014年12月18日

3Dプリンティングで作製した材料に四次元を導入して、環境に応じて形を変える動的な構造を作り出したという報告が、今週掲載される。この方法は、ソフトロボティクスを用いる医療用途に役立つ可能性がある。この材料は、水に浸した後、自然に広がり、折り畳み、折れ曲がって、あらかじめ決めておいた形に変形するため、作製後に材料の特性と機能を変えることが可能になる。従来の3Dプリンティングでは、いったん作製した材料が変化することはない。

今回、Dan Ravivたちは、プリントされた後に形状が変わる材料を用いて、第四次元、つまり時間の次元を導入した。Ravivたちの方法は、特性の異なる材料(剛性を失わない材料と元の体積の最大200%まで膨張する材料)を用いた3Dプリンティングによって3D構造を作製するというものだ。この膨張性を有する材料は、主構造上に戦略的に配置することができ、水によって活性化すると、折り曲げストローのように伸び縮みし、屈曲して、複雑な幾何学的配置に基づいた形状を幅広く作製できるようになる。今回の研究では、例えば、3Dプリンティングで作製されたアルファベットの“MIT”に似た形状を“SAL”に似た形状に変化させた。また、Ravivたちは、時間の経過とともに折れ曲がったり伸び縮みしたりして、複雑な幾何学的変形を起こす新しい構造をいくつか設計した。いくつかの2D格子がプリントされ、水に浸すと湾曲した形状になるようにあらかじめプログラムされた複数の変形パターンについて検証が行われた。

こうした形状転換は、数回の湿潤・乾燥サイクルにわたって再現できたが、変形と復元を繰り返すことによる材料の劣化も見られた。この動的な材料の寿命を突き止めるためには、さらなる検証が必要で、Ravivたちは、他の活性化刺激(例えば熱や光)によって同じ効果が得られる可能性も指摘している。

doi:10.1038/srep07422

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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