Research Press Release
OCDのマウスモデル
Nature Medicine
2010年4月26日
強迫性障害(OCD)の原因に関係する可能性のある分子が同定された。
OCDはよくみられる精神障害の1つで、強迫観念と反復性の強迫行為の存在を特徴とし、不安やうつ症状が伴うことが多い。OCDには、脳の線状体とよばれる領域や線状体と大脳皮質との接続がかかわっているとされる。しかし、この病気の分子基盤はまだ解明されていない。
S Rafiたちは、ニューロンに特異的なSlitrk5という分子をもたないマウスが、OCDに似た挙動(過剰な身繕い行動と不安の亢進)をみせることを明らかにした。このような挙動は、OCDの治療に広く用いられているフルオキセチンによって軽減される。また、Slitrk5をもたないマウスでは、大脳皮質の部分的な過剰活性化と線状体の異常が認められた。OCDにかかわる新しい分子が同定されただけでなく、今回の研究に利用されたこのマウスは、OCDの動物モデルとして利用でき、新しい治療法の研究にも役立つ可能性がある。
doi:10.1038/nm.2125
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
化学:アルゴリズムは、ウイスキーの最も強い香りと原産地を嗅ぎ分けることができるCommunications Chemistry
-
天文学:月の年齢はより古いNature
-
気候変動:南極の海氷減少が嵐の発生を促すNature
-
天文学:天の川銀河の超大質量ブラックホールの近くに連星系を発見Nature Communications
-
惑星科学:土星の環が若々しい外観を保っている理由Nature Geoscience
-
惑星科学:木星の衛星イオに浅いマグマの海はないNature