Research Press Release
精神障害への経路
Nature Neuroscience
2015年1月20日
統合失調症、双極性障害、大鬱病のようなよくある精神障害には、共通する遺伝的危険因子があり、免疫機能とDNA発現の変化に関連するものだという報告が、今週のオンライン版に掲載される。
ヒトゲノムに散らばる数百の遺伝的差異が、わずかとはいえ統合失調症のような精神状態に関する危険性を増加させる。ただし、これらの遺伝的変化が脳機能の変化につながるさまざまな生理過程に影響を及ぼす仕組みは明らかではない。
Gerome Breen、Peter Holmansほかの研究者は、統合失調症、双極性障害、大鬱病、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥多動性障害および健常者を含む6万人を超える被験者から得た遺伝的データを解析した。Breenたちは、全ての障害をまとめて遺伝的データを分類し、ヒストンのメチル化(DNA発現を変化させる分子修飾)と免疫機能に関わる遺伝子がこれら障害の進展に関連することを発見した。これを契機に、疾患を横断して共通する生理機構が特定され、正確な診断にかかわらない標的治療法を開発する助けとなる可能性がある。
doi:10.1038/nn.3922
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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