Research Press Release
海洋哺乳類の進化
Nature Genetics
2015年1月27日
系統的に遠縁な海棲哺乳類に見られる遺伝的類似性が解析され、類似の形質が進化した過程の解明が進んだ
クジラやマナティなど独自の哺乳類分類群からなる海棲哺乳類は、海洋環境に適応する上で必要な共通の形質を持つが、この形質はそれぞれの哺乳類分類群で独立して進化してきた。この現象を収斂進化と呼ぶ。今回、A Footeたちは、海棲哺乳類における収斂進化の遺伝的基盤を解明するため、シャチ、セイウチ、マナティのゲノム配列を解読し、またバンドウイルカのゲノムについては深度を高めて解読した。その結果、上述した4種全体で、進化過程で選択を受けた191の遺伝子が同定された。Footeたちは、これらの遺伝子が、陸上生活から海での生活への移行に関連している可能性が高いと考えており、そのうちの8個の遺伝子は、4種全てで同じ分子的変化を起こしていた。また、別の7個の遺伝子は、4種全てで同じ変化を起こしているが、適応に関与している証拠は1種または2種についてしか得られなかった。これらの遺伝子のなかには、海洋への適応にとって重要な過程(例えば、骨の形成、内耳の形成、血液凝固の調節)で役割を担っているものがある。
doi:10.1038/ng.3198
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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