海洋酸性化の被害を最も早く受ける貝類漁業のコミュニティーはどこだ?
Nature Climate Change
2015年2月24日
海洋酸性化の影響を最も受けやすい米国の貝類漁業コミュニティーを特定できたという報告が、今週のオンライン版に掲載される。
化石燃料の燃焼によって大気中に放出される二酸化炭素のかなりの部分は、最終的には海洋へ溶け込み、海洋の酸性度を高める。有殻軟体動物(貝殻を持つ軟体動物)には、米国の多くの沿岸地域の社会が経済的に依存しているが、こうした軟体動物は、海洋の酸性度の変化に対する感受性が特に高い。
今回、Julia Ekstromたちは、有殻軟体動物の捕獲に対する米国の沿岸地域の依存性と捕獲量の減少に対する適応能力にテーマを絞って、海洋酸性化に関連する複数の社会・経済的リスク要因を評価する研究を行った。その結果、米国の沿岸地域23か所中の16カ所で海洋酸性化が急速に起こっており、太平洋岸北西部とアラスカ南部の周辺の海洋生態系が最も早く影響を受けるという予測が明らかになった。
Ekstromたちは、有殻軟体動物に対する経済的依存性と(例えば、政府の海洋酸性化対策の状況、転職状況、科学の利用可能性によって示される)適応能力を組み合わせて分析し、米国東海岸とメキシコ湾沿岸のコミュニティーが最も影響を受けやすいことを報告している。今回の分析では、米国の沿岸地域の脆弱性の原因に地域差があることが明らかになり、Ekstromたちは、それぞれの地域に合わせた対策による適応可能性を示し、適応を促進するうえで取り組むべき知識と情報の重大な欠落をはっきりと指摘している。
doi:10.1038/nclimate2508
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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