【動物学】ガラパゴス諸島の鳥類は花も食べる
Nature Communications
2015年3月11日
ガラパゴス諸島に生息する陸鳥種のほとんど全てが餌の幅を広げ、花の蜜と花粉まで食べるようになったという報告が、今週掲載される。こうした摂食ニッチの大きな拡大は、これまで脊椎動物について報告されたことがなく、鳥類が、ガラパゴス諸島全体で重要な花粉媒介動物として行動していることを示唆している。
ガラパゴス諸島のような孤立した海洋群島では、通常、大陸部と比べて植物種と昆虫種の多様性がかなり低い。広大な海域にわたる分散がうまくいかないことが多いからだ。これに対して、鳥類種は、ガラパゴス諸島に到達することがあるが、島では餌になる昆虫と植物が非常に限られている。この場合、鳥類種は、餌の幅を花まで広げることがあるが、それが群島部でどの程度起こるのかは分かっていない。
今回、Anna Travesetたちは、ガラパゴス諸島に生息する陸鳥による訪花と花粉の輸送を計測し、観察対象の鳥類種の全てが被子植物と直接に相互作用していることを見いだした。今回の研究の対象となったのは、ガラパゴス諸島で見られる合計23種の鳥類のうち、最も生息数の多い19種の陸鳥類で、100種以上の植物との相互作用が認められた。Travesetたちは、鳥類と花との相互作用のネットワーク特性を大陸部と島嶼部の生態系のネットワーク特性と比較し、ガラパゴス諸島におけるネットワークの方がノード間のつながりが密で、食餌の汎化が進んでいることを示していることを明らかにした。
汎化は、鳥類が在来植物種と侵入植物種との相互作用を区別していないことを意味しており、摂食ニッチの拡大がガラパゴス諸島での鳥類の当初の生存に役立ったかもしれないが、それによって鳥類が侵入植物の花粉媒介という望ましくない役割も果たしている可能性があることが示唆されている。
doi:10.1038/ncomms7376
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