発光織物の実現に向けて前進
Nature Photonics
2015年3月24日
細くて織ることのできる発光ファイバーが開発されたという報告が、今週のオンライン版に掲載される。この発光ファイバーは、いわゆる「スマート」織物への応用が考えられる。
ポリマー発光電気化学セル(PLEC)は、フレキシブル・フラットパネルディスプレイ技術や照明技術に応用される有機発光ダイオード(OLED)に似ている。しかし、動作電力が低く、電子から光子への変換効率が高いなど、OLEDに勝るメリットがあるため、PLECの方が携帯式電子機器やウエアラブル電子機器への使用に適している。
今回Huisheng Pengらは、細い鋼線に酸化亜鉛ナノ粒子層、発光ポリマー、カーボンナノチューブ(CNT)層を順次コーティングすることによってファイバー状PLECを作製できることを見いだした。得られたファイバーは、およそ1 mmの太さで、青色の光または黄色の光を放出するが、将来的には他の発光色も実現できる可能性があるという。また、Pengらのファイバーは、束ねて撚り合わせることや、織って織物にすることもできる。ある位置から別の位置へと光を導くガラス製光ファイバーとは異なり、PLECファイバーは、内部の金属ワイヤーと外側のCNT層の間に数ボルト以上の電気信号を与えることで表面全体から光を放出する仕組みだ。
作製工程のスケールアップが可能なので、発光する衣類を大量生産できるようになるかもしれない、とPengらは示唆する。
Enrique OrtiとHenk Bolinkは、この論文を解説するNews & Views記事で、「織物との一体化に適した発光ファイバー作製技術における大きな進歩といえる」と述べている。
doi:10.1038/nphoton.2015.37
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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