Research Press Release

水蒸気が土星の大白斑を説明

Nature Geoscience

2015年4月14日

20年から30年ごとに土星で発生する巨大嵐は、長期間にわたって嵐の形成を抑制している惑星大気内の水蒸気により起きている可能性があるという報告が、今週のオンライン版に掲載される。この研究は、何年か後に巨大嵐が発生することを示唆している。

大白斑と呼ばれる惑星全体を巡る巨大嵐は、過去140年間に土星で赤道と中緯度の間で交互に6回観測されている。地球の大きさに匹敵する巨大な目に似た最も近年の大白斑は、2010年に噴出し、6か月で惑星の周りを巡った。

Chen Liたちは、土星大気の水蒸気が数十年にわたり嵐を形成する循環を抑制しているという理論を作った。これは水分子が、土星大気の主要成分である水素やヘリウムと比べると重く、暖気が上昇して雷雲を形成することを抑制するからである。著者たちは、結果として大気上層が冷却されることで、最終的には抑制された循環が勝って、暖かい水蒸気を含む空気が急速に上昇して巨大な雷雲の引き金となることを示唆している。

数値モデルを用いて、著者等はこのメカニズムが2010年の大白斑の探査機による観測と一致することを示した。彼らはまた、木星では惑星全体を巡る嵐が存在しないことは、木星大気が土星大気より水蒸気の含有量が少ないという予想により説明できる可能性について提案している。

doi:10.1038/ngeo2405

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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