Research Press Release

血友病のRNA治療

Nature Medicine

2015年4月14日

血液凝固を阻害するタンパク質の量を抑制する治療用RNAが、血友病のマウスモデルと非ヒト霊長類モデルで、効果を上げたとの報告が寄せられている。この薬は、現在、第1相臨床試験が行われている。

血友病は、変異によって血液凝固第VIII因子あるいは第IX因子が欠失したために、出血を調節する能力が変化することが原因である。しかし、血液凝固を阻害する他のタンパク質を失活させるような変異が起これば、第VIII因子や第IX因子の変異の影響を打ち消すことができる。

Akin Akincたちは、このような血液凝固阻害タンパク質の1つ、アンチトロンビンを標的として、RNA干渉を利用した治療薬ALN-AT3を設計した。アンチトロンビンは、重要な血液凝固タンパク質トロンビンを阻害する。ALN-AT3を投与すると、遺伝的変異のために第VIII因子が欠失した17匹のマウスで血液凝固が亢進し、また第VIII因子を標的とする抗体を注射した4頭のカニクイザルでトロンビン生産が増加した。

現在の血友病治療は、組換え第VIII因子、第IX因子を投与する凝固因子補充療法に頼っているが、ALN-AT3は抗第VIII因子抗体が存在しても有効なことが明らかになったことで、この種の抗体を産生して治療に抵抗性を示すようになった患者に、ALN-AT3が役立つ可能性が示唆される。

doi:10.1038/nm.3847

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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