Research Press Release
オーストラリアの熱波による労働生産性低下で数十億ドルの経済的損失
Nature Climate Change
2015年5月5日
熱ストレスを原因とする欠勤と生産性低下によって2013~2014年のオーストラリア経済に推定62億ドル(約7440億円)の損失が生じたという報告が、今週掲載される。
1950年以降、オーストラリアでは熱波が増えており、今後の気候変動によって発生回数がますます増えることが予想されている。猛暑は、オーストラリアにとって危険な自然災害と考えられており、死者の数は、他の全ての自然災害による死者数を上回っている。
今回、Kerstin Zanderたちは、高温が従業員の生産性にどう影響するかを突き止めるため、オーストラリアの1,726人の成人労働者を対象とした調査を行った。この調査で、回答者の75%が職場での高温によって影響を受けたと申告し、70%が高温によって生産性が低下したことが1日以上あったと回答し、約7%が1日以上欠勤したと答えた。生産性の低下と非常に強く関連していたのが職務の身体的負担だった。Zanderたちは、生産性低下による年間平均損失額が1人当たり932米ドル(約11万円)、熱ストレスを理由とした欠勤による年間平均損失額を1人当たり845米ドル(約10万円)と推定している。
Zanderたちは、熱波の頻度と強度が予測通りに上昇するようであれば、職場での熱射を減らし、飲料水や健康増進講座を利用しやすくする戦略を実施すべきだと提案している。
doi:10.1038/nclimate2623
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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