【遺伝】ヒト遺伝子発現の季節変化
Nature Communications
2015年5月13日
ヒト遺伝子の発現が季節とともに変化することが明らかになった。この季節変化は、北半球と南半球で逆のパターンになっており、ヒトの健康に影響すると考えられ、特定の感染症と慢性疾患に季節的なパターンが見られる理由を説明する上で役立つ可能性がある。この研究成果についての報告が、今週掲載される。
発現量が24時間周期で増減する遺伝子(「概日」遺伝子)が存在し、哺乳類の免疫応答の主要な調節因子となっていることはよく知られているが、遺伝子の発現が季節の影響を受けるのかについての解明はかなり遅れている。今回、John ToddとChris Wallaceたちの研究グループが、いくつかの一般公開されているデータセットの遺伝的データを調べ、発現量に有意な季節差のある遺伝子が全体の約4分の1を占め、血液中のさまざまな免疫細胞の相対組成が季節とともに変化することを明らかにした。
ヨーロッパの冬には炎症促進性のパターンが見られ、心血管疾患と自己免疫疾患に関連するタンパク質の血中濃度が上昇した。また、西アフリカの住民の場合には、雨季が始まり、マラリアやその他の感染症の有病率が最も高い6~10月に、季節に応じて変動するタイプの細胞の量が最大に達した。Toddたちは、ヒトの免疫という概念の立て方が今回の研究で得られたデータによって変わったという見方を示し、この研究結果はワクチン接種プログラムを最も効果的な時期に実施するために役立てることができると考えている。
doi:10.1038/ncomms8000
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