Research Press Release
インド洋は太平洋が冷えるのと同時に温められている
Nature Geoscience
2015年5月19日
1998年以降、地表の温暖化が減速した時期に太平洋に流入した熱の余剰分はインド洋に輸送されたという報告が、今週のオンライン版に掲載される。この発見は、過去15年ほどの期間に太平洋で熱の吸収が強化されたが、そこで観測された熱の蓄積は減少しているという報告と矛盾しない。
大気最上層の観測は地球が継続して温暖化していることを示唆しているにも関わらず、全球の平均地表温度は1998年以降ほとんど一定値を保っている。この熱の多くは太平洋に流入していると考えられているが、実際の観測結果は太平洋の熱容量の減少を示している。
Sang-Ki Leeたちは、全球海洋-海氷モデル・シミュレーションとともに観測データを解析し、太平洋の熱吸収の増加は、インドネシア多島海を通るインド洋への熱輸送の増加によって埋め合わされていることを見つけた。
インド洋での熱の増加は、全球海洋上層700mでの熱容量の70%に相当する。著者たちは、もし輸送が継続するならば、インド洋での熱の蓄積は、20世紀中頃からすでに十分加熱されている大西洋に反映されると示唆している。
関連するNews&ViewsでJerome Vialardは、「過去10年間にわたりインド洋に蓄積された熱が、中断期が終わった後の急速な温暖化に寄与するかどうかは、(継続した)観測によってのみ分かるだろう」と書いている。
doi:10.1038/ngeo2438
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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