Research Press Release
【老化】老齢マウスの骨修復機能の若返り
Nature Communications
2015年5月20日
若い血液細胞から分泌される分子が老齢マウスの骨折の治癒を加速させるという報告が、今週掲載される。この分子の正確な化学的性質は分かっていないが、今回の研究は、老齢の個体が骨折の治癒に長い時間を要する理由を説明する上で役立ち、骨折の治癒を促進する医薬品の開発への道筋の可能性も示している。
体内組織の修復能力は加齢とともに低下し、このことは老齢の個体における骨折の治癒に長時間を要することに反映されている。ただし、こうした加齢による修復能力の低下を引き起こす分子機構については十分に解明されていない。
今回、Benjamin Almanたちは、若齢と老齢のマウスの血流をつなぎ、骨髄移植を実施して、若齢マウスの体内を循環する血液細胞から分泌される分子が骨細胞の再生能を高めることを明らかにした。また、この分子(化学物質か小型タンパク質と考えられる)が若い血液細胞のみから分泌されることも判明した。この分子は、骨細胞の一種である骨芽細胞におけるシグナル伝達分子βカテニンの濃度を低下させることによって働く。そして、Almanたちは、このことが高密度の新しい骨の形成と関連していることを発見した。
doi:10.1038/ncomms8131
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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