【古生物学】ゴンドワナ大陸の原始的鳥類の化石、ブラジルで初となる発見
Nature Communications
2015年6月3日
白亜紀前期のゴンドワナ大陸に生息していた鳥の立体的な化石がブラジルで発掘された。この種の鳥類化石標本としては、これまでで最も完全なもので、ハチドリの大きさに近く、南米では初めての発見となった。この化石についての報告が、今週掲載される。
白亜紀の羽毛のある鳥類の化石の大部分は中国北東部で発掘されており、鳥類の羽毛の初期進化に関する知識の大半は、これらの化石によってもたらされている。現生鳥類には見られないリボン状の羽毛は、すべて二次元のスラブから得られたものであるため、その三次元形状はほとんど分かっていない。
今回、Ismar Carvalhoたちは、ブラジルで発見されたリボン状の尾羽を持つ鳥の立体化石を分析し、この尾羽の構造と機能を初めて明らかにした。この尾羽には、楕円形の羽幹がある他、一列に並んだ斑点が見られ、これは装飾的な色彩パターンの名残だとCarvalhoたちは解釈している。また、Carvalhoたちは、この尾羽が性的誇示、種の識別や視覚的コミュニケーションと関連しているが、バランスや飛翔とは関連していないという考え方を示している。尾羽が空力的に最適化されていないことが立体化石によって示されているからだ。そして、南米で生息していた鳥類の祖先のリボン状の尾羽に関する論文が発表されたことで、このタイプの羽毛をもつ古代の鳥類の分布が広がった。これまでは中国で発見された化石に関する研究報告しかなかった。また、今回発見された化石の骨の発達から得られた証拠は、この鳥が若鳥であった可能性が高いことを示している。
doi:10.1038/ncomms8141
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