Research Press Release
【材料科学】伸び縮みする電池
Scientific Reports
2015年6月11日
折り紙と似たところのある切り紙の考え方に基づいた伸縮性の電池が、機能を保持しつつ元の大きさの150%以上に伸びることを報告する論文が、今週掲載される。今回の研究では、この電池がスマートウォッチの動力源になることが実証された。また、この電池は伸縮リストバンドに簡単に組み込むことができ、伸縮自在のウェアラブルデバイスでの利用可能性が明らかになった。
これまでにさまざまな方法を用いて伸縮性と折り曲げ性を有するエネルギー貯蔵デバイスを開発する試みがなされてきた。その1つが、折り紙の考え方を用いて折りたためる電池を作製することだった。しかし、折り紙の考え方に基づいたデバイスは、単一平面上での折りたたみに限られるために表面がでこぼこになる。今回、Hanqing Jiangたちは、切り紙の手法(紙を折ることと切ることを組み合わせた手法)を用いてリチウムイオン電池を設計し、元の長さの150%以上伸びるパターンを作り出すことでこの問題を克服した。今回の研究では、この電池の試作品をスマートウォッチに取り付けられた弾性バンドに縫い付けて実験が行われ、伸びた状態の電池でスマートウォッチが作動することが分かった。従来のかさばる硬質の電池は小型ウェアラブルデバイス開発を制約する一要因である可能性があり、Jiangたちは、この伸縮性の電池には従来型の電池に置き換わる将来性があると示唆している。
doi:10.1038/srep10988
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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