【データセット】セレンゲティ国立公園にすむ動物の生活を写し出す
Scientific Data
2015年6月9日
セレンゲティ国立公園に設置されたカメラトラップによって得られた120万セットの画像の目録作りが行われた。動物の写っている画像は32万2653点で、ツチオオカミ、ゾリラ、ミツアナグマなど40種が同定された。このデータセットがScientific Dataで発表される。
カメラトラップは何年にもわたって使用されている機器で、野生生物の保護に重要な役割を果たしている。これを用いることで研究者が遠隔地や保護区における希少種の存在を確認できるからだ。また、技術の発達による性能の向上と同時に低価格化も実現された結果、カメラトラップによる調査は急激に増加し、データも膨大な量に達した。このため、新しい画像データ処理法を開発する必要性が生じている。
今回、Alexandra Swansonたちは、市民科学者が集まるインターネット上のフォーラムと連携して、225のカメラトラップによって得られた画像セットを公開するウェブサイトを開設した。そしてボランティアが、画像1点1点を分類し、そこに写っている動物種を同定し、個体数を集計し、その行動の特徴を明らかにした。今回発表されるデータセットは、2010〜2013年に撮影され、2万8000人以上の登録ボランティアが目録作りを行った画像に対応している。次にSwansonたちは、分類に関するコンセンサスを得て、画像に写った動物を同定するためのアルゴリズムを設計した。Swansonたちは、このようにして得られたデータセットが今後の生態学研究と教育目的に利用され、今回設計されたアルゴリズムが今後のクラウドソーシングによる画像データ処理プロジェクトに役立つことを期待している。
doi:10.1038/sdata.2015.26
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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