Research Press Release
【地質学】火星隕石にメタンが含まれていた
Nature Communications
2015年6月17日
火星隕石を破砕する分析においてメタンの遊離が確認されたという報告が、今週掲載される。この新知見は、火星にメタンが存在していることを示しており、メタンを利用する微生物が火星に生息している可能性があるという仮説の信ぴょう性を高めている。
火星には(地球上の極限環境に生息する細菌のように)酸素の代わりにメタンを利用する生命体が現存、あるいは過去に存在していた可能性がある。キュリオシティー探査機による火星大気の測定結果からはメタンの存在量が少ないことが示唆されているが、より多くのメタンが火星の地下に存在している可能性がある。
Nigel Blameyたちは、火星上の火成岩が火星環境との化学反応によって分解すると、生命体が生き延びるために必要なメタンが遊離し、それが十分な量に達する可能性があると考えている。今回、Blameyたちは、この仮説を検証すべく、火星上の火成岩とされる6つの隕石を調査し、破砕時に6つの隕石のいずれからもメタンとその他のガスが遊離し、そうしたガスが隕石中の流体包有物や結晶粒界に常在していた可能性が高いことを報告している。火星の地下は、過酷な地表よりも生息に適した環境である可能性が非常に高く、もし微生物がそうしたガスを利用できれば、地球の場合と似た地下生物圏が維持されている可能性がある。
doi:10.1038/ncomms8399
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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