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RIPにより再び脚光を浴びるアカパンカビ
Nature Reviews Genetics
2003年5月1日
シトシンのメチル化は、アカパンカビと高等生物に共通な特徴の1つにすぎない。アカパンカビのゲノム配列を調べたところ、詳細な概日リズムシステムと複雑なシグナル伝達ネットワークがあることも判明しており、このネットワークには、これまで他の菌類では見られなかった細胞外cAMPシグナル伝達経路が含まれている可能性もある。それでも、これまでにゲノム配列が解読された他の生物と比較した場合、アカパンカビは多重遺伝子ファミリーの遺伝子に関する共通点がほとんどない。Galagan et al.では、アカパンカビのゲノムについて解析が行われ、RIPに特有の急速な突然変異によって、アカパンカビは、他の数多くの生物のように遺伝子重複によって進化するのではなく、ほとんど似ていない遺伝子を作り出すことによって進化する、という考え方が提唱された。
しかし進化は、戦争のような状態であることが多い。アカパンカビがRIPから取得したのは、外部から侵入してくるDNAを排除する能力なのだ。同じNature4月24日号で発表されたSelker et al.では、アカパンカビのゲノムからメチル化部分が単離され、そのほとんどがRIPを経た塩基配列によって構成されている、という結論が示されている。要するにアカパンカビのゲノムは、外部から侵入しようとしたがRIPによって死滅したレトロトランスポゾンなどの残骸が散乱した状態なのだ。アカパンカビは、現在のゲノムを守ることと引き換えに、進化による将来の姿についての予測可能性を手放したとも言える。近い将来、アカパンカビに関する新たな研究に、そのゲノム情報が十分反映されるようになると、より詳しいことがわかってくるだろう。
doi:10.1038/fake474
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