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カタツムリの律動的出力

Nature Reviews Neuroscience

2003年1月1日

中枢パターン発生器(CPG)とは、律動的な出力を発生させる介在ニューロン網のことで、摂食や移動といった運動活動を調節している。運動活動のリズムの生成過程は解明しにくいことがある。それは、個々のニューロンに固有の特性とニューロン網の残りの部分に依存する特性とを区別するのが難しいためだ。Straub et al.は、カタツムリの仲間であるモノアラガイ(Lymnaea)の摂食CPGを構成するニューロンを単離し、1個の重要な介在ニューロンに固有の特性によって複数の発火サイクルが始まることを発見した。 モノアラガイのCPGを構成する介在ニューロンには3つの主要なクラス(N1、N2、N3)があり、それぞれのニューロンは摂食サイクルの異なる段階で活動する。それぞれのクラスには、2つのサブタイプがあり、正常な介在ニューロン網で調べたところ、これらサブタイプのいくつかに内因的特性、例えば電位の急上昇やプラトー電位の発生が見られ、それがパターン発生の一因となっている可能性があることが判明していた。ところがStraub et al.の研究で単離した介在ニューロンを調べたところ、プラトー電位を発生させる固有の特性があるのはN1M介在ニューロンのみであることが判明した。N2v介在ニューロンの場合にはアセチルコリンの存在下でプラトー電位が発生し、その他の介在ニューロンについては顕著な固有の活動パターンは見られなかった。むしろ、これらの介在ニューロンが律動的に発火するのは、CPG網からこの介在ニューロンへのシナプス入力があるからと思われる。 このようなシナプス入力は、CPGに見られる主要な神経伝達物質であるグルタミン酸あるいはアセチルコリンを使った培養系においてシミュレートすることが可能だ。Straub et al.は、介在ニューロンの電気的特性や薬理学的特性を単離した状態とin situで調べることで、神経回路による摂食パターンの発生モデルを新たに作り出した。甲殻類のCPGを対象とした類似の研究では、CPGを構成するニューロンのほとんどにパターン発生の一因となる固有の特性があることが示されている。モノアラガイの摂食CPGは、これとは異なる機序によっていると考えられ、ほとんど全ての介在ニューロンの律動的活動が介在ニューロン網との相互作用に依存している。

doi:10.1038/fake511

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