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始まりはCUEから

Nature Reviews Molecular Cell Biology

2003年5月1日

ポリユビキチン鎖(polyUb)がプロテアソームによるタンパク質分解を促進することはよく知られている。では、モノユビキチン(monoUb)はどういう働きをしているのだろうか。最近、monoUbが小胞の輸送に関わっていることが明らかにされた。今回、3つのグループがそれぞれ独立にVps9(vacuolar protein sorting 9)について研究を行い、新たな知見が得られた。Vps9は、細胞膜由来の小胞、またはゴルジ体由来の小胞と液胞様の区画との融合を促進する酵母のグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)である。
Current Biologyに発表された第一番目の論文では、JoazeiroとSupekらのグループが、Vps9のCUEドメインが、これまで知られていなかったUb結合ドメインであることを明らかにした。彼らは、CUEドメインがpolyUbだけでなく直接monoUbとも結合することを示し、小胞の輸送にmonoUbの結合が重要であることをはっきりさせた。膜貫通型の受容体とmonoUbを融合させた構築体で、Ubに変異を導入するか、Vps9vps9を欠失させるかによってmonoUbとVps9の間の結合が損なわれると、構築体が液胞中でなく細胞質中に蓄積することがわかった。しかし、おもしろいことに、Ubの変異によって起こった小胞輸送の阻害は、Vps9のCUEドメインを欠失させることで相殺されることもわかった。この結果は、CUEドメインがVps9に負の調節を加えているが、UbがCUEドメインに結合するとVps9に正の調節を加えるようになり、CUEドメインが欠失するとVps9がUbとは関係なく活性化されることを示している。
Hickeらも、Vps9のCUEドメインが直接monoUbやpolyUbと結合することを見出し、結合に関わる重要な表面部分を限定して、The EMBO Journalに発表した。彼らはまた、Vps9のCUEドメインがVps9の活性を負に調節すると考えた。そして、Vps9のCUEドメインが、Vps9のRsp5hectドメインユビキチンリガーゼによるモノユビキチン化の促進に必要であることも明らかになった。このリガーゼは、細胞表面の受容体のエンドサイトーシスに関わっている。Hickeらは、CUEドメインが進化の上で保存されてきたmonoUb結合ドメインで、分子内でのモノユビキチン化に関わっていると結論した。
Horazdovskyらの、The Journal of Biological Chemistryに発表された結果は、上記の2つのグループによる結果と一致するもので、monoUbがVps9の調節体であることが確かめられた。Horazdovskyらは、Vps9はUbによるエンドサイトーシスの調節の中間的な段階、つまり受容体の取り込みと多胞体での選別の中間にあたる段階で機能していることを確かめた。Horazdovskyらは、CUEドメインがmonoUbを結合することによってVps9が局在化され、CUEによるVps9のモノユビキチン化は、そのGEF活性を修飾していると考えている。しかし、これはCUEに関する研究の始まりにすぎない。そして、CUEドメインとmonoUbが、Vps9の機能に関して正確にはどういう役割を持っているのかはまだわかっていない。

doi:10.1038/fake556

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