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GFPの輝かしい未来
Nature Reviews Molecular Cell Biology
2004年11月1日
GFPのもっとも単純な使い方は、問題のタンパク質をコードするDNA配列にGFP遺伝子を融合させ、そのタンパク質の発現される場所をGFPが発する蛍光を使って明らかにするというものである。最近になって、GFPはin vitro、あるいは細菌や培養細胞内でのタンパク質間相互作用を観察するのにも使えることが明らかになった。この目的に使うには、まずGFPを2つに切断し、生じたポリペプチド鎖断片をそれぞれタンパク質の相互作用に関わるドメイン、あるいは標的タンパク質に結合してやる。2つのタンパク質ドメイン、あるいは2つの標的タンパク質が互いに結合すれば、GFPの2個のポリペプチド鎖断片も近接した位置に来るのでGFPの蛍光が放出されるようになる。
Chalfieらは今回、彼らが「再構築GFP(recGFP)」と呼ぶものについて、もっと多くの利用法があることを明らかにした。まず、2個のGFP断片のそれぞれがタンパク質の相互作用ドメインに結合しているrecGFPがin vivoで生じることを線虫で明らかにした。また、線虫ではシアン蛍光タンパク質と黄色蛍光タンパク質も同様にして分断・再構築できることも明らかになった。
著者らはついで、recGFP系が2種の異なる遺伝子を共発現している細胞の同定に使えるかどうかを調べた。線虫のunc-24遺伝子は6個の触受容器ニューロンおよび腹側神経束中のいくつかの細胞で発現されること、またmec-2遺伝子はこれと対照的に触受容器でだけ発現されることはすでにわかっている。そこで、GFPポリペプチド鎖断片の1個はunc-24のプロモーターによって、もう1つはmec-2のプロモーターによって発現されるようにしてやると、GFPは触受容器ニューロンでのみ再構築され、線虫のこれら2つの遺伝子はこのニューロン群でだけ共発現していることが確認された。この実験によって理論が証明されたことになる。つまり、この手法は未知の発現パターンを持つ遺伝子について、細胞中で共発現するかどうかを調べるのに使えると考えられるようになったのである。
recGFP系はまた、特定の遺伝子を発現する細胞を同定するのにも使えそうだ。Chalfieらは、発現パターンがわかっていなかったsto-6遺伝子に着目した。この遺伝子を普通のGFPをコードする配列と融合させて調べると、腹側神経束中の多数の異なる運動ニューロンで発現されることがわかった。さらに、どういうニューロン群なのかを厳密に同定するためにrecGFP法が使われた。GFPポリペプチド鎖断片の1つをsto-6のプロモーターによって発現されるようにし、もう1つのポリペプチド鎖は発現パターンが既知のさまざまな遺伝子のプロモーターで発現されるようにして調べた結果、著者らはsto-6遺伝子が興奮性運動ニューロン群で発現されることを突き止めたのである。
Chalfieらは、in vivoで限られた細胞群について構成成分を標識するなどといった、recGFPのまた別の使い方についても検証を行った。そして彼らは、recGFPは線虫や他の生物で、たとえば細胞融合やウイルス感染などの起こることを実証するのに使えるのではないかと述べている。GFPの未来は文字通り「明るい」といえよう。
doi:10.1038/fake573
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