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分解を助ける小さな助っ人
Nature Reviews Molecular Cell Biology
2005年5月1日
Hanらは、ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)S2細胞中でのAREを含むmRNAの分解が、哺乳動物の細胞と同じような方法で調節されていることをまず確かめてから、S2細胞中の遺伝子発現のRNA干渉によるサイレンシングを行い、AREがかかわるmRNA分解に必要な遺伝子のスクリーニングを行った。そして、Dicer1、Ago1とAgo2が分解に必要なことがわかった。これらはいずれもmiRNAのプロセシングにかかわっているタンパク質をコードしている。ARE-RNAはDicerを欠くHeLa細胞中では安定だが、対照細胞中では分解を受けるので、HeLa細胞でもこの過程にDicerが必要なことが確かめられた。
DicerとArgonaute(Ago)ファミリーのタンパク質が必要だとすると、ARE-RNAの分解におけるmiRNAの役割はどんなものだと考えられるだろうか。これを調べるため、HanらはヒトのmiRNA配列を調べ、AREと相補的な8つの塩基を含んでいるmiR16を探し出した。実際、HeLa細胞をmiR16の分解を引き起こす低分子干渉性RNAで処理すると、ARE-RNAの安定性が増大した。これとは対照的に、miR16を過剰発現させるとARE-RNAの分解速度が増大した。こうした影響は塩基配列特異的であって、AREと塩基対を作らないmiRNAは、AREを含むmRNAの安定性になんの影響も与えなかった。
トリステトラプロリン(TTP)は、AREに結合するタンパク質でARE-RNAの不安定化を促進する。TTPを欠く細胞中でmiR16を過剰発現させると、miR16はARE-RNAの不安定化を起こせないことがわかった。逆に、miR16がない場合には、TTPによる不安定化は観察されなかった。つまり、ARE-RNAの分解にはmiR16とTTPの両方が必要だということになる。
紫外線を使った架橋実験と免疫沈降実験から、TTPとmiR16は会合しているが、直接結合してはいないことがわかった。TTPはまた、Ago2のヒト・ホモログと推定されているタンパク質とも共沈降した。miR16とAgoタンパク質はRNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)の一部となると考えられていることから、上記の結果はRISC中でTTPがAgoファミリーのタンパク質との会合を介してmiR16と結合していることを示しているのだろう。
miRNAがAREを標的とする際の詳しい仕組みはまだわかっていないが、これらの結果は、TTPがRISCに結合してmiR16がAREを標的として結合するのを促進しているか、あるいは結合を安定化しており、こうした働きがmRNAの分解につながることを示していると考えられる。
doi:10.1038/fake579
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