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リンパ球の成長を修飾
Nature Reviews Immunology
2004年2月1日
哺乳類のmiRNAの造血細胞の発生における重要性を調べるために、Chenらはマウス骨髄由来の複数のmiRNAのクローニングを行い、miR-181、miR-223、miR-142の3つが造血組織を選んで発現されることを明らかにした。さらに解析を重ねたところ、骨髄中でmiR-181は、分化していない前駆細胞や他の細胞系列に比べて、Bリンパ細胞系列で多く発現していることがわかった。miR-142はB細胞と骨髄性細胞でもっとも多く発現されるが、miR-223は骨髄性細胞系列を選んで多く発現されていた。
では、miRNAは造血系細胞の拘束を調節しているのだろうか。骨髄由来の未分化の前駆細胞でmiRNA-181を異所的に発現させると、in vitroで培養後にB系列細胞の数が選択的に増加する。一方、miR-142やmiR-223を発現させた場合は、T系列細胞の割合が著しく増加した。miR-181がB系列細胞の分化に関わっていることは、miR-181を発現している細胞を致死量の放射線照射を受けたレシピエントに移植すると、末梢血液中のB系列細胞の割合が増加し、同時にT細胞集団、特にCD8+Tサブセットが減少することからも確かめられた。
この研究は、miRNAが哺乳類で発生の調節に関わっていることを初めて実証したものである。おもしろいことに、これらのmiRNAは特定のリンパ球集団の発生に影響を与えるが、他の系列への分化を完全に阻害するわけではない。そこで、Chenらは、これらのmiRNAはオン・オフのスイッチとしてでなく、系列の修飾因子としてそれぞれ作用しているのだろうと考えている。
doi:10.1038/fake609
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