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DNA切断とUNG − どういう形でかかわっているのか
Nature Reviews Immunology
2004年10月1日
もっとも広く受け入れられているモデルは(FURTHER READING参照)、AIDが免疫グロブリン遺伝子DNAのシトシン残基を脱アミノ反応によりウラシル残基に変えるというものである。ウラシル残基は次いで、DNAの塩基除去修復酵素であるウラシル-DNAグリコシラーゼ(UNG)によって取り除かれ、ここで鎖の切断が起こる。しかしこれまで、本庶らは、別のモデルを提案してきた。これはAIDとmRNA編集酵素であるAPOBEC1の間の類似性に基づくもので、AIDは、未知のmRNAの脱アミノ化により、DNAを切断する、新しいエンドヌクレアーゼをコードするmRNAができるとする。本庶らは今回DNAの切断とUNG活性の間の時間的な関係に着目し、RNA編集モデルを支持するさらなる証拠を提出した。
今回の実験では、二重鎖DNAの切断箇所の隣に作られる、リン酸化ヒストンH2AX(γ-H2AX)がCSRの際に生じる切断部位のマーカーとして使われた。マウスのリンパ腫細胞系列を刺激してクラススイッチを起こさせIgAが産生されるようにすると、γ-H2AXはIgH遺伝子座に集積した。これらの細胞でUNGの阻害因子であるUgiを発現させると、IgAを生じるCSRのレベルが低下したが、γ-H2AXの集積は影響を受けなかった。つまり、γ-H2AXの集積がIgH遺伝子座に絞り込まれるのはUNGに依存しないが、CSRレベルはUNGが存在しないと低下するのだから、UNGはCSRに関してDNA切断の下流で働いていると考えられる。これはDNA脱アミノ化モデルとは矛盾する。Ugiを発現している細胞としていない細胞とでIgHに生じる変異の速度に差がなかったことも、この考え方を裏付ける。変異はCSRの際のDNA切断によって生じる。だとすればUNGはDNA切断には不要であるように思える。
触媒活性を欠くがDNAに結合できるUNG変異体は、UNGを欠くB細胞でのCSRレベルを野生型と同じ程度まで回復させることが示された。つまり、UNGは触媒活性を持たない場合にもCSRにおいて重要であると考えられる。このことは、UNGが構造上の役割をもっている可能性を示唆している。本庶らは、AIDによるプロセシングで生じたエンドヌクレアーゼによるDNA切断の後に、UNGが修復にかかわるタンパク質をDNAの近傍に集合させる足場として働いていると考えて、彼らのRNA編集モデルをさらに詳細なものにしている。このようなエンドヌクレアーゼの役割は、CSRにおけるDNA切断にはde novoのタンパク質合成が必要であることを明らかにした本庶らのグループの別の論文によっても裏付けられている。
doi:10.1038/fake614
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