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DCがクロスプライミングを行うのを助けるTLR3

Nature Reviews Immunology

2005年3月1日

主要組織適合抗原クラスI(MHCI)分子の存在下での外来抗原の提示、つまりクロスプレゼンテーションは、CD8+T細胞のプライミング(クロスプライミング)あるいはCD8+T細胞不活性化(クロストレランス)を引き起こす。CD8+T細胞がこれらの運命のどちらをとるかを決定するシグナルについて、新たな考察がNature誌に報告された。この論文は、Toll様受容体3(TLR3)の刺激がクロスプライミングを促進することを明らかにしている。

CD8α+樹状細胞(DC)はマウスの抗ウイルス応答の重要な成分であり、ウイルス特異的な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)のプライミングを行っている。このDCはまた、in vivoでのクロスプレゼンテーションの主要なメディエーターでもある。そこでSchulzらは、食作用によって取り込んだウイルス感染細胞由来の抗原をクロスプレゼンテーションしているCD8α+DCは、クロスプライミングに進むようなシグナルを受け取るはずだと考えた。ウイルス感染に伴って二本鎖RNA(dsRNA)が生産され、またCD8α+DCがdsRNAの受容体であるTLR3を発現しているような場合に、TLR3がクロスプライミングを起こさせるようなシグナルを伝達するかどうかを調べることにしたのである。

合成dsRNA(ポリイノシン酸-ポリシチジル酸;ポリI:C)を注入してから紫外線照射をして細胞死を起こさせたVero細胞(霊長類の細胞系列)の存在下で培養したCD8α+DCは、ポリI:Cを含むVero細胞を食作用により取り込んだ。これによって細胞表面でのCD40、CD80、およびCD86の発現が増大し、インターロイキン-6などの炎症性サイトカインの生産も増加した。これに対して、模擬処理したVero細胞ではCD8α+DCの活性化は誘発されなかった。CD8α+DCを、脳心筋炎ウイルスあるいはセムリキフォレストウイルス(SFV)に感染させたVero細胞の存在下で培養しても同様の活性化が見られた。ポリI:Cを注入したVero細胞がCD8α+DCの活性化を誘発するのに、食作用による取り込み、およびファゴソーム内部の酸性化は必須であった。さらに実験を行い、ウイルス感染させたVero細胞、あるいはポリI:Cを注入したVero細胞による活性化の誘発にはTLR3も不可欠であることがわかった。

さらに、増殖せず、またオバルブミン(OVA)を発現するように遺伝的修飾を施したSFVを感染させたVero細胞、あるいはポリI:Cの存在下または非存在下でOVAを注入したVero細胞のどちらかを使ってマウスを免疫した。OVA特異的なCTLの効率よいクロスプライミングは、ウイルス感染細胞あるいはポリI:Cの存在下でOVAを注入したVero細胞で免疫したマウスでのみ観察された。TLR3を欠くマウス、あるいは致死量の紫外線照射後にTLR3を欠く骨髄による再構築を行ったマウスでは、ウイルス感染細胞あるいはポリI:Cの存在下でOVAを注入したVero細胞で免疫した後にCTLのクロスプライミングが起こらないことから、内在的なTLR3シグナルがCD8α+DCによるクロスプライミングを誘発することがさらに確かめられた。

この研究は、CD8α+DCでのTLR3の発現が、DCに感染しないウイルスの検知や、CD8+T細胞のクロスプライミングにいたるような、細胞由来のウイルス抗原のクロスプレゼンテーションの誘発という機能を担っていることを示している。しかし、TLR3のライゲーションがクロスプライミングを引き起こす唯一のシグナルというわけではなさそうで、著者らはウイルス感染によって生産が誘発されるインターフェロンI型がTLR3によって開始されるシグナル伝達と相乗的に働いてクロスプライミングを促進しているのではないかと考えている。

doi:10.1038/fake618

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