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花粉も有罪
Nature Reviews Immunology
2005年9月1日
花粉抗原は適応免疫応答を誘発し、それが好酸球や肥満細胞のような顆粒球を気道に移動・集合させる。顆粒球はさらに、NADPH酸化酵素による活性酸素種(ROS)の発生を介して炎症応答を助長する。Boldoghらは今回、花粉自体も植物由来のNADPH酸化酵素を含んでいて、これが適応免疫応答が起こっていない状態でも酸化ストレスを引き起こすことがあるのを明らかにした。
Boldoghらはまず、ブタクサ花粉抽出液(RWE)を分画したものについて、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)を還元してROS発生活性について調べた。NBTを還元できる分画(pRWEOX+)の活性には基質としてNADPHが必要で、この活性はスーパーオキシドジスムターゼにより阻害された。このことは、NBTアッセイ系でのROS発生は、花粉のNADPH酸化酵素によって作られるスーパーオキシドを介していることを示している。
RWEは培養上皮細胞と気道抗原投与マウスモデルの気道上皮中で、細胞内ROS濃度を増加させた。マウスに抗原物質の単回肺内投与を行ったところ、RWEとpRWEOX+は気管支肺胞洗浄液中のROS濃度の上昇と酸化ストレスマーカーの増加を引き起こしたが、NADPH-酸化酵素活性を欠く分画(pRWEOX-)ではこうした増加は見られなかった。またこのような増加は、肥満細胞、あるいはB細胞およびT細胞を欠くマウスでも起こり、ROSは免疫細胞によってでなく、花粉が持っているNADPH酸化酵素によって作られることが示された。
野生型マウスでは、RWEの投与により好酸球などの炎症性細胞の肺への移動・集合が起こり、これはおそらくCXCケモカインリガンド8(CXCL8)の産生を介すると考えられた。しかし、熱処理したRWE(pRWEH;NADPH酸化酵素活性を欠く)の投与では、RWEの投与に比べて、移動・集合する細胞の数は大幅に低下した。pRWEHにROS発生物質の代用物を加えてやるとアレルギー性の気道炎症が再構成されたが、ROS発生物質だけでは炎症は誘発されなかった。
こうした結果から著者らは、アレルギー性の気道炎症の誘発について2シグナルモデルを提案している。このモデルは、シグナル1は花粉のNADPH酸化酵素によって(つまり酸化ストレスによって)引き起こされる自然応答であり、シグナル2は抗原である花粉に対する適応免疫応答であるとするものだ。シグナル1だけでシグナル2がなければアレルギー性の炎症を誘発するには不十分だが、シグナル1はシグナル2を増大するのに重要な働きをするというのである。
doi:10.1038/fake624
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