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毒性メカニズム

Nature Reviews Microbiology

2004年9月1日

Nature Reviews Microbiology 9月号 739ページでMolly Schmid が論じているように、受容体‐リガンド複合体のX線結晶構造が新たな抗菌物質の開発に頻繁に用いられつつある。今回、宿主細胞受容体CMG2との複合体を形成した炭疽菌毒素のX線結晶構造がNatureに報告され、今後新たな抗毒素物質の設計が期待される。

炭疽菌毒素保護抗原(PA)は宿主細胞受容体に結合する。結合すると、PA分子は切断され、63 kDaフラグメント(PA63)が8量体プレポアを形成し、低pHエンドソーム成分内に移行し、エンドソーム膜に挿入される。

Santelliらは、PA分子のIIドメインとIVドメインがくっついてCMG2受容体のインテグリン様(I)ドメインと結合する構造を報告し、そのPA‐CMG2間の結合の特異性を説明できる複数の特異的相互作用を明らかにした。CMG2 Iドメインには金属イオン依存性接着部位、metal-ion-dependent adhesion site(MIDAS)モチーフがあり、インテグリンが細胞外マトリックスに結合する場合と同様に、PAのアスパラギン酸側鎖がMIDASとMg2+イオンの配位圏を完成させる。また、PAドメインIVのβサンドイッチモチーフが溝を作り、そこに受容体の上部表面のうねの部分が入り込む。PAドメインIIのβ2‐β3ループのβヘアピンは、2つのチロシン残基、ストランド間ループおよび1つのヒスチジン残基により形成された受容体のポケットに挿入される。

プレポア複合体がエンドソーム膜に挿入される前に、ドメインIIとIVが解離してドメインIIのβ2‐β3ループが再配置されねばならないことが生物物理学的研究から示唆されている。CMG2はドメインIIとIV両方に結合することにより、これらのコンフォメーション変化を阻止することで細胞膜への早すぎる挿入を阻止する、とSantelliらは示唆している。さらに、酸性化したエンドソームのヒスチジン残基へのプロトン付加により膜への挿入を誘引していると述べている。結晶構造より、ドメインIIとIVの接触面には7つのヒスチジン残基があることがわかっており、これらへのプロトン付加によりドメインIIとIVを解離できるだろう。さらに、受容体ポケットの基部にあるヒスチジンへのプロトン付加によりドメインIIのβ2‐β3ループとCMG2受容体との結合が阻害され、このループが再配置されるだろう。

炭疽菌毒素は生物学的兵器として利用される可能性から恐れられており、最近のこのような研究の進展は新たな抗毒素開発に重要である。

doi:10.1038/fake744

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