Research Highlights

ストレスは体によいか?

Nature Reviews Cancer

2005年10月1日

デンマークの科学者らが実施した研究に拠れば、ストレス度の高い女性は乳癌になりにくい(Nielsen, N. R. et al., Br. Med. J. 9 September 2005 (10.1136/bmj.38547. 638183.06)) 。

ストレスはエストロゲンの産生を抑制する。エストロゲンは乳癌の既知の危険因子である。このことから、Nielsen らは、1981年から1983年の間にストレス度を自己評価したCopenhagen City Heart Study の被験女性6,689例の乳癌発生率を追跡し、251例が乳癌を発症したこと、ストレスが大きいカテゴリーに入ると自己評価した女性は、リスクが40%小さいことを明らかにした。

しかし、どの方面からも忠告が発せられている。「ストレスを受けている女性の乳癌リスクが低いことがわかってはいても、ストレスが健康によい反応と考えられないことだけは強調しておきたい」と、国立公衆衛生研究所の研究主任Naja Rod Nielsenは話す(http://www.forbes.com, 9 September 2005)。

これまで、ストレスは乳癌リスクを高めると考えられてきた。Breast Cancer Care (英国)のEmma Penneryは、「乳癌患者らと話をしてみると、うち何人かはストレスを寄与因子と考えていることがわかります。そういう意味で、この新しい研究は、非常に興味深い」と話す(http://news.bbc.co.uk, 9 September 2005)。

Breakthrough Breast Cancer (英国)のSarah Rawlingsは以上のことをまとめ、「…健康的でバランスのとれた生活習慣を維持することが重要です。ストレス度が高ければ、不健康な行動をとることになりかねず、それによって乳癌をはじめとするさまざまな疾患のリスクが変化しうるからです」と、人々に注意を促している。(http: //www.guardian.co.uk, 9 September 2005)。

doi:10.1038/nrc1731

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