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Nature Reviews Cancer

2005年3月1日

Assays under control with the programmable Pipetman Concept

急性骨髄性白血病(AML)は、白血病のなかで最も発生頻度が高いが、AMLにはサブグループが極めて多く、最も効果的な治療法を選択するのは困難である。Brunangelo FaliniらはNew England Journal of Medicineの1月20日号で、AML患者の大きなサブグループの特徴を明らかにし、治療効果を予測するのに、ヌクレオホスミン(NPM)タンパク質の細胞内での位置を利用できると報告している。

NPMは正常細胞内では、核と細胞質を往復しており、核内で見られる頻度が最も高い。腫瘍抑制機能があると考えられており、ARF-p53経路を調節すると見られる分子シャペロンである。しかし、NPM 遺伝子が癌関連転座におけるパートナーであることから、一部の白血病およびリンパ腫では発癌因子様にも作用している。この研究で、Faliniらは、その腫瘍抑制機能に影響を及ぼすかどうかを明らかにする目的で、AML患者から得た591検体を用いて細胞下でのNPMの位置を検討している。

これにより、208検体(35%)のNPMは細胞質にあることがわかった(NPMc +)。このパターンは、検討した様々な白血病FAB (フランス-アメリカ-イギリス)分類の全サブタイプに認められ、通常はCD34陰性であったが、原発性AML患者の細胞にのみ認められた。二次性AML 細胞のNPMは、もっぱら核にあった。注目すべきことに、NPMc+患者の85%で核型が正常であったのに対して、NPMc-患者では27%であった。すなわち、NPMが細胞質にあれば、核型正常のAML患者(これまでは層別化するのが困難であった集団)ということになる。

NPMタンパク質の位置は、治療効果に影響を及ぼしているのだろうか。NPMの免疫染色情報および臨床情報がわかっている核型正常患者126例を対象に、その関係を検討した。多変量ロジスティック回帰モデルから、白血球数が少ないこと、 NPMが細胞質に局在していることが、完全寛解の独立予後因子であることが明らかになった。

Faliniらは次に、タンパク質が細胞質にある場合にNPMが変異しているかどうかを検討した。特徴的な融合タンパク質は見つからなかったが、配列分析を実施したところ、NPMc+疾患の1例をのぞく全例のエキソン12 に変異が見つかった。変異はさまざまであったが、いずれもC末端領域が変化するフレームシフト変異を来していた。NIH-3T3細胞でこの変異タンパク質が一過性に発現すると、それは細胞質に局在し、標識した野生型タンパク質は核に留まっていた。以上のことから、この変異は、分布を変化させる直接の原因ではないかと考えられる。

doi:10.1038/fake838

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