神経芽細胞腫の転帰を予想する
Nature Reviews Cancer
2004年11月1日
神経芽細胞腫患者の転帰を予測するため、人工ニューロコンピュータによる解析を併用した遺伝子発現プロフィール解析法が考案された。
遺伝子が25,000個含まれるcDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現プロファイリングによって、治療前の49例から採取した原発性神経芽細胞腫56検体をレトロスペクティブに解析した。患者は、転帰が良好(無事象生存期間が3年超)または不良(癌死)なグループのいずれかに分けた。その後、どの試料が予後良好または予後不良であるかを認識または予測するよう、ニューラルネットワーク(ヒト脳を模倣した特殊パターンアルゴリズム)を訓練した。
このアルゴリズムは、以前に報告され、神経芽細胞腫患者の98%の予後予測に用いることができるマーカー2個(MYCNおよびCD44) を含む遺伝子19個を特定した。その他、神経発達に関与することがわかっているいくつかの遺伝子も転帰と関わりがあり、新しい治療標的であることが判明した。また、研究者らは、上記の予測遺伝子を用いて治療後に高リスクに分類された患者サブセットを予後良好グループと予後不良グループに分けることもでき、従来の治療法に不応性を示す可能性が高いために代替治療戦略が必要となる超高リスク患者グループを見分けることが可能になった。
転帰に関わりのある遺伝子がわずか19個であったことから、臨床使用のための単純な予後評価法の考案が可能である。この遺伝子のうち予後不良を示す3個は、血中に分泌されるタンパク質をコードすることから、血清予後因子として用いることができるのではないかと考えられる。この研究者らはすでに、300検体を超える神経芽細胞腫を用いた、さらに大規模な妥当性確認試験に着手している。
doi:10.1038/nrc1488
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