Research Highlights
欠陥除去
Nature Reviews Cancer
2004年3月1日
Helicobacter pylori の慢性感染は胃癌の原因となるが、除菌で胃癌を予防することはできるのだろうか。Wongらは初めて住民集団ベースの前向き無作為化プラセボ対照試験を実施し、高リスク集団のH. pylori除菌によって胃癌発生率が低下するかどうかを明らかにした。
この試験は、中国南部の高リスク地域で内視鏡検査によりH. pylori保菌者であることがわかった1,630例(うち988例には前癌病変なし)を対象に実施したものである。オメプラゾールと抗生物質との併用により、被験者のH. pylori除菌を行った。7年半にわたるフォローアップ後、WongらはH. pylori除菌した被験者もプラセボを投与した被験者も、胃癌発生数はほぼ同じ(それぞれ7例および11例)であると報告している。しかし、前癌病変のない保菌者は、H. pylori除菌によって胃癌発生が予防されたようで、プラセボ群の6例に胃癌が発生したのに対し、除菌した患者に胃癌の発生はみられなかった。
H. pylori除菌は高リスク集団の胃癌予防に有効であると思われるが、今後は、さらに試験を重ねて低リスク集団における効果を明らかにするほか、前癌病変のある患者における抗生物質治療の長期作用を明らかにする必要がある。
doi:10.1038/nrc1313
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