共有タンパク質による細胞増殖の巡視
Nature Reviews Cancer
2003年1月1日
幹細胞と癌細胞の増殖を制御しているのは同じタンパク質の可能性があることが新たな研究でわかった。
の発見は研究者にとって、これらの細胞が無限に分裂するようすを理解する手助けとなるだろう。しかしこのことは、幹細胞移植が「癌の種まき」になる危険性をはら む懸念をも照らし出している。
リーランド州ベセスダにある国立神経疾患卒中研究所のRobert Tsaiは、この発見は科学者が医学的に利用可能な無限の資源として幹細胞を扱うのに役立つだろうと述 べている。幹細胞治療はいつの日か、体のどんな損傷組織でも置き換えたり修復したりできるようになることが望みである。
のためには、科学者は移植細胞が癌にならないよう増殖を制御できなければならない。ロンドン大学インペリアルカレッジの組織工学再生医学センター所長Julia Polakは、科学者はもっと「幹細胞の初期段階に起こる分子的事象に注意を払う」べきだと述べる。
は通常、古くなった細胞を置き換えられるよう、ある程度の幹細胞の再生能力を維持している。癌細胞はこの特性を奪って腫瘍細胞へ分裂するよう悪性転換させる。幹細胞と癌細胞の分子について今回証明された関連は、「私の知る限りでは何か新しいものである」とPolakは言う。
saiとRonald McKayはヌクレオステミン(nucleostemin)タンパク質が、マウス胚性幹細胞や神経幹細胞や数種のヒト癌細胞系列などの自己再生細胞に豊富に含まれるこ とを明らかにした。
れに対し、成熟細胞へ成長しもう分裂しない細胞ではヌクレオステミンは乏しい。培養神経幹細胞や培養癌様細胞のヌクレオステミンレベルを増大あるいは下落させると、細胞増殖が減少した。
クレオステミンの正確な機能はまだ不明だが、細胞分裂制御の分子スイッチのように動くらしい。このタンパク質が、細胞増殖を制御し多くの癌に関係するp53タンパク質に結合することも明らかにされている。
doi:10.1038/fake860
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