チェックポイント / 遺伝子プロファイル解析
Nature Reviews Cancer
2003年3月1日
チェックポイント
hk1欠損腫瘍細胞は生育可能だがチェックポイントと生存機能に多様な欠陥がある
achos, G. et al. EMBO J. 22, 713-723(2003)
Chk1は異常なDNA構造に対するチェックポイント応答を開始させると考えられるが、 多細胞生物でのChk1の詳細な研究はChk1欠損細胞が胚致死性になるため妨げられてき た。標的遺伝子組換え法(gene targeting)を利用し、トリBリンパ腫DT-40細胞系 でChk1の欠失を容易に得た。Chk1欠損細胞は生育可能だったが、チェックポイント応 答に欠損があり、電離放射線に感受性を示した。Chk1は有糸分裂を阻害して腫瘍細胞 の生存を促進するようである。したがってChk1の阻害は分子標的治療に使える可能性 がある。
遺伝子プロファイル解析
伝子発現プロファイル解析によるホジキンおよびリード・ステルンベルグ細胞特異的遺伝子群の同定
uppers, R. et al. J. Clin. Invest. 111, 529‐537(2003)
ホジキンリンパ腫の腫瘍形成細胞はホジキン細胞とリード・ステルンベルグ細胞だが、 これらの細胞の特性解析は困難だった。これらの細胞は、胚中心にあってB細胞の起 源になる。遺伝子プロファイル解析を実施し、これらの細胞の遺伝子発現を正常B細 胞や他の種類の悪性B細胞の遺伝子発現と比較した。ホジキン細胞とリード・ステル ンベルグ細胞は、他のB細胞とは発現される遺伝子群に違いが見られ、EBV(エプスタ イン・バーウイルス)で悪性形質転換されたB細胞に最も類似していた。数種の遺伝 子の発現が特異的に異常になっており、これらの遺伝子を診断法や治療法の標的とし て使えるかもしれない。
doi:10.1038/nrc1035
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