MRIで早期発見
Nature Reviews Cancer
2003年7月1日
磁気共鳴画像法(MRI)は病期の明らかな乳癌患者の治療に対する反応を観察するのに広く使われている。米国臨床癌学会年次集会で発表されたデータは、乳癌の危険度が高い女性ではMRIが早期発見にも有用である証拠となるものだ。
an Klijn(エラスムス大学医療センター、ロッテルダム)は、多くの施設における非無作為化かつ予見的な最大規模の研究で種々の乳癌集団検診法を比較した結果を発表した。家族性または遺伝性乳癌の生涯危険度が15%以上の女性が1000人以上登録された。遺伝的危険度をもつ女性はBRCA1かBRCA2遺伝子に変異を1つもつ。被験者は乳房視触診と、年に1度のマンモグラフィおよびMRIで評価された。
年間で、乳癌40例が発見された。うち46%は1 cmより小さく、またほとんどはリンパ 節までは広がっていなかった。視触診では腫瘍の16%、マンモグラフィでは36%が同定 された。MRIで同定されたのは71%で、非常に高感度の技術であることが証明された。 MRIはマンモグラフィで見落とされがちな癌、たとえば、非浸潤性乳管癌や、組織の 乳腺実質が多かったり(若年女性によく見られる)、石灰化していないような癌でさ え見つけ出すことができる。MRIはマンモグラフィより特異性が低かったが(95%に対 し88%)、BRCA1かBRCA2遺伝子に変異をもつ女性についてはマンモグラフィに加えてMRIを定期的に行う検査を研究者らは勧めている。もう1つ考慮すべき点は、家族性乳癌の女性がマンモグラムに使用される低用量放射線の変異原性効果を受けやすいことである。したがってX線の被曝は最小限にとどめるべきである。
doi:10.1038/fake867
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