RAに対するBim-BH3模倣療法
Nature Reviews Rheumatology
2010年4月1日
Bim–BH3-mimetic therapy for RA
関節リウマチ(RA)患者では、人為的な制御下において、局所的な滑膜細胞アポトーシスを誘導することは、関節の炎 症・破壊を軽減する有効な治療戦略となりうることが動物モデル研究で示唆されている。しかし、この目標を安全に達成できる薬剤の特定が未だ挑戦的な試みであること がわかってきた。Arthritis & Rheumatism に発表されたScatizziらの研究では、まさにアポトーシス促進を伴う薬剤に関する有望な結果が報告されている。
Bcl-2ファミリー蛋白は抗アポトーシス性とアポトーシス誘導性のメンバーの両者を含み、機能的に重要な4つのBcl-2相同ドメイン(BH1~4)のうち1つ以上を有する。Bim (Bcl-2様蛋白11としても知られる)はBH3ドメインのみを有するアポトーシス誘導性のBcl-2ファミリー蛋白で、癌の潜在的な治療標的として古くから研究が行われてきた。 本研究では、RAにおけるBimの役割を種々のin vitro 法、in vivo 法を用いて検討した。
RA患者から採取した滑膜組織検体のマクロファージでBim発現低下が認められた。Bim - / -マウスから単離したマクロファージは、リポ多糖による刺激を受けると、高レ ベルの炎症マーカーとインターロイキン1βを発現したことで明らかなように、Bimの発現はマクロファージ活性化の抑制にも関与しているようであった。
K/BxNマウスに血清移入した実験的関節炎モデルを用いて、工学的に作製されたBH3模倣ペプチド(TAT-BH3)の治療可能性を検討した。TAT-BH3の腹腔内投与を受けたマウ スは、対照マウスに比べて関節炎の発症が抑制され、関節炎罹患関節の骨髄細胞のアポトーシスが増加した。
Bim-BH3模倣薬はRAや自己反応性細胞を排除できないその他の自己免疫疾患において治療的価値があると著者らは結論づけている。
doi:10.1038/nrrheum.2010.31
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