Review Highlight

ストレスとストレス系の障害

Nature Reviews Endocrinology

2009年6月2日

Stress and disorders of the stress system

すべての生物体は複雑な動的平衡、すなわちホメオスタシスを維持しなければならない。ホメオスタシスは絶えずストレッサーと呼ばれる有害な内的・外的因子による攻撃を受けている。ホメオスタシスが脅かされる場合やそうされていると認知された場合にストレスが生じる。ホメオスタシスの再構築はさまざまな行動的および生理的適応反応によって達成される。神経内分泌ホルモンは基礎的なホメオスタシスと脅威に対する反応の双方の制御において大きな役割を果たし、ホメオスタシス障害(cacostasis)を特徴とする疾患の発症に関与する。ストレス反応は中枢神経系および末梢器官に存在するストレス系を介して引き起こされる。密接に相互作用するストレス系の中枢性エフェクターには視床下部ホルモンのアルギニンバソプレシン、コルチコトロピン放出ホルモン、プロオピオメラノコルチン由来ペプチド、脳幹青斑核および自律神経性のノルエピネフリンなどがある。これらのエフェクターは消化管系、心肺系、代謝系、免疫系などをターゲットとし、遂行および/または認知、報酬・恐怖、脳の覚醒-睡眠中枢、成長、生殖、甲状腺ホルモン系に作用する。ストレス系の適切な基礎的活性と反応性は健康感の獲得、課題遂行、ポジティブな社会的相互作用の構築に不可欠である。ストレス系の基礎的活性や反応性が過剰もしくは不十分な場合は発達、成長、身体組成に障害をきたし、宿主の行動や身体に病的状態をもたらす可能性がある。

doi:10.1038/nrendo.2009.106

「レビューハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度