Research Highlights

ストレスは虚血性脳卒中のリスクを増加させる

Nature Reviews Neurology

2009年12月1日

Stroke Stress increases risk of ischemic stroke

心理的ストレスと身体的疾患の関連が次々と解明されている中、新たな研究により、自覚する心理的ストレスが1 年以上続いた場合、虚血性脳卒中のリスク が有意に上昇することが明らかにされた。「ストレスと脳卒中リスクの関連は、虚血性脳卒中のサブタイプによって異なるということが新たに発見された。この関連は大血管疾患や小血管疾患、潜因性脳卒中では認められたが、心原性脳塞栓では認められなかった」とスウェーデンのKatarina Jood(University of Gothenburg)は報告している。

継続的な研究により、18 ~ 69 歳の急性虚血性脳卒中患者600 例と、年齢および性別でマッチさせた対照者600 例を比較した。被験者は、1 項目の質問票を使用して、過去5 年間に経験したストレスの程度を後向きに評価した。虚血性脳卒中と1 年以上続いた自覚的な心理的ストレスの間には、有意かつ独立した関連が明確に認められた。(原因を問わない)虚血性脳卒中の多変量調整オッズ比(OR)は3.49 であった(95% CI 2.06 ~ 5.93)。次に、この数値を脳卒中のサブタイプに応じて詳細に分析した。この分析では、潜因性脳卒中(OR 4.03)のオッズ比が最大であり、次に大血管疾患(OR 3.91)、小血管疾患(OR 3.20)の順であった。心原性脳卒中のリスクは、ストレスと有意に関連していないことが認められた(OR 1.48)。

「今回の結果は、同じ評価質問票を(使用した)中年男性を対象とした前向き試験と一致している。同試験では、過去5 年間に持続的なストレスがあったと報告した被験者で、12 年間の追跡調査後に脳卒中リス クが上昇していた」とJood は述べている。この以前の研究は、虚血性脳卒中と出血性脳卒中を区別するには検出力が不足していたが、今回の結果は、男女双方において、自覚ストレスとさまざまなタイプの虚血性脳卒中の独立した関連を支持するものである。Joodは、「脳卒中の危険因子としてのストレスの役割をさらに調査し、自覚ストレスのどのような要素が最も重要であるのかの洞察を得るため、今後も研究が必要で ある。そのためには、心理的ストレスのより巧妙な評価方法を開発する必要がある」と結論づけている。

doi:10.1038/nrneurol.2009.181

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