ドパミンアゴニストはパーキンソン病における抑うつを軽減する
Nature Reviews Neurology
2010年7月1日
Parkinson disease Dopamine agonist alleviates depression in PD
せることは、疾患管理の手助けとなる可能性がある。Paolo Barone らによって最近実施された試験では、抗パーキンソン療法を受けているヨーロッパ人および南 アフリカ人患者において、ドパミンアゴニストであるプラミペキソールが12 週間後の抑うつ症状を改善した。本試験には、運動症状の変動をきたしていない患者のみが組み込まれたが、これはそのような症状がPD患者の抑うつを引き起こす可能性があるためである。したがって運動機能を安定化させる治療薬は、間接的な経路を介して抑うつ症状を改善する可能性がある。
Barone らは、PD 患者における抑うつはドパミン神経系の障害と関連していると推測されることから、本試験においてプラミペキソールを選んだ。研究チームは、本試験がそのような被験者において特異的に抑 うつを低減させる上で、このドパミンアゴニストの有効性を初めて報告した試験であると主張している。
一次および二次評価項目はそれぞれ、Beck Depression Inventory score および15-item Geriatric Depression Scale によって判定した。これらの評価項目のいずれにおいても、プラミペキソールを投与された患者ではプラセボに比べて改善が認められた。
パス解析の結果、全般有効率が80%という、プラミペキソールによるドパミン神経経路の刺激に基づく抑うつ症状に対する薬剤の直接的な影響が示されたが、運動症状の変動に対する軽減効果は20%であった。
本試験は、抑うつの重症度の改善とQOL の間には関連性があるという過去に提起された理論を支持するものである。しかしながら、試験開始時点でも、被験者は軽度~中等度の抑うつ(試験開始時における最低 スコア:15-item Geriatric Depression Scale では5、Unified Parkinson’s Disease Rating Scale の項目3 のパート1 では≧ 2)だけを有していると評価されてい たことから、絶対的な効果は小さい。
この国際的な研究チームは、重症度がより高い抑うつ症状を有する患者や、より進行したPD 患者でも改善がみられるのかどうか、また、すでに抑うつ症状の治療のために薬剤を投与されている患者に対してプラ ミペキソールの用量が最適なものであるのかどうか、などを究明するためにはさらなる試験が必要であると結論づけている。
doi:10.1038/nrneurol.2010.83
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