喫煙は関節リウマチ発症の危険因子であるが、疾患進行には影響しない
Nature Reviews Rheumatology
2007年11月1日
Smoking is a risk for development of RA but does not affect disease progression
喫煙は関節リウマチ(RA)発症の危険因子として知られている。Finckh らは、喫煙がRA 発症後にもX 線学的関節破壊および機能障害の進行に影響を 及ぼすか否かを明らかにするため、非喫煙のRA 患者1,459 例、中等度喫煙のRA 患者489 例(平均喫煙数13 本/ 日、平均喫煙歴:24.2 年)、大量喫煙のRA 患者55 例(平均喫煙数33 本/ 日、平均喫煙歴:27.7 年)について縦断研究を行った。
それぞれの患者に対し、X 線撮影とアンケートに基づく評価を連続2 回以上実施した。X 線学的関節破壊の進行度は、Ratingen スコア(X 線学的関節破壊について確証されたスコアシステム)のベースラ イン値からの変化で示し、判定は1 名の評価者が行った。機能障害の進行度はStanford HAQ 障害指数のベースライン値からの変化で判定した。
全体として、喫煙者のX 線学的関節破壊の進行度は、非喫煙者と比べて速くはなかった。中等度喫煙者と非喫煙者間に差は認められなかった(P = 0.65)が、大量喫煙者の進行度は、むしろ、より緩慢であっ た(P < 0.001)。機能障害の進行度と現在の喫煙状況との間には、相関関係は認められなかった。
過去の報告では、喫煙は変形性関節症の発症や重症化ならびに他の炎症性疾患を予防するとされている。本研究は、早期炎症性多発性関節炎患者における疾患進行への喫煙の影響を解析したより小規模な 縦断研究の結果を裏づけており、ニコチンにはRA進行を遅らせる可能性があることを示唆する。α7 ニコチン受容体が炎症性疾患治療に適した標的であるかどうかを検討するために、現在、試験が行われて いる。
doi:10.1038/ncprheum0614
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