クラスA スカベンジャー受容体を介した辺縁帯マクロファージによるアポトーシス細胞の除去
Nature Reviews Rheumatology
2008年1月1日
Class A scavenger receptors mediate apoptotic cell clearance by marginal zone macrophages
アポトーシス細胞の除去能の障害は全身性エリテマトーデス(SLE)への感受性を亢進させる。自己抗原はアポトーシス細胞に由来し、辺縁帯B 細胞に よる自己抗体の産生を引き起こす。辺縁帯マクロファージ(MZM)は、辺縁帯B 細胞に近接して認められ、コラーゲン構造をもつマクロファージ受容体(MARCO)とクラスA スカベンジャー受容体の 高発現を特徴とする。Wermeling らは、これらのクラスA スカベンジャー受容体はアポトーシス細胞と結合することから、脾臓辺縁帯からのアポトーシス細胞の除去に関与すると報告している。
アポトーシス細胞をマウスに静脈内投与すると、細胞はMZM に捕捉された。in vitro 細胞培養試験では、MARCO とクラスA スカベンジャー受容体はアポトーシス細胞に結合することが明らかになった。 これらのクラスA スカベンジャー受容体が欠損しているマウスは対照マウスに比し、IgM およびIgG 抗DNA 抗体レベルが有意に高く(P = 0.01)、抗核自己抗体レベルが高かったが、腎病変の自然発生はな かった。しかし、驚くべきことに、クラスA スカベンジャー受容体欠損マウスでは、循環血液中のアポトーシス抗体の量や静脈内投与されたアポトーシス細胞の除去に異常は認められなかった。
別のマウスモデル研究で、lupus-prone マウスの血清には発症前にすでに抗MARCO自己抗体が存在することが明らかになった。Wermeling らも、早発性SLE患者は対照患者よりもMARCO蛋白への反応が有意に 高いことを示した(それぞれ20 例、19 例、P = 0.0035)。
以上のことから、MZMはクラスA スカベンジャー受容体によるアポトーシス細胞への反応を制御していることが示された。これらの受容体に対する自己抗体は、SLE を予測するバイオマーカーであり、発 症機序に関与している可能性がある。
doi:10.1038/ncprheum0659
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