新しいCCL2 阻害薬はラットの確立したアジュバント関節炎を軽減する
Nature Reviews Rheumatology
2008年7月1日
Novel CCL2 inhibitor alleviates established rat adjuvant-induced arthritis
CCモチーフケモカインリガンド(CCL)2 および5(旧称MCP1 およびRANTES)は双方とも、関節リウマチ患者の滑膜組織への白血球遊走を誘発する。ラッ トアジュバント関節炎(AIA)では、CCL5 濃度は疾患発症前にピークに達するが、CCL2 濃度は炎症が完全に確立してから上昇する。CCL2 やCCL5 を遮断した結果は、検討する関節炎モデルおよび介入 の機構とタイミングによって異なると考えられている。他の研究と同じく、Shahrara らの以前の研究ではCCL5 阻害によりAIA 発症が予防されたことが示された。Shahrara らは今回、CCL2 阻害がAIA の進行を顕著に抑制したことを報告している。
変異ケモカインであるAANA-CCL5(ドミナントネガティブな、CCL5 の非グリコサミノグリカン結合阻害薬)、およびP8A-CCL2(内因性CCL2 を滑膜から除去し、その後の単球浸潤を予防するCCL2 の新規阻害薬)を用いて、確立したAIA を有するラットを治療した。AIA の臨床的、X 線学的、および病理学的特徴は、疾患発症後、P8A-CCL2 投与により抑制されたが、AANA-CCL5 では抑制されなかった。 P8A-CCL2 とAANA-CCL5 の併用投与でも、確立したAIA の重症度が軽減されたが、P8A-CCL2 単独投与よりも大きく軽減されることはなかった。
確立したAIA を有するラットの関節では、P8ACCL2投与によりマクロファージの蓄積が減少し、腫瘍壊死因子、インターロイキン1β および血管内皮増殖因子の発現が低下し、p38 mitogen-activated protein キナーゼのリン酸化(およびその結果としての活性化)が低下した。
Shahrara らは、CCL2 阻害が、確立した関節炎に対する有用な治療法となりうると示唆している。
doi:10.1038/ncprheum0833
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