関節リウマチ患者に対し期待される新しい治療法
Nature Reviews Rheumatology
2008年8月1日
Potential new therapeutic approach for patients with RA
腫瘍壊死因子(TNF)の阻害により、ほとんどの関節リウマチ(RA)患者の炎症と関節破壊が低減する。しかし、一部の患者にはTNF 阻害薬療法が奏効しな いため、他の関節損傷メディエーターが存在することが示唆される。このため、Kamijo らは、変形性関節症(OA)患者4 例および2 年以上の活動性RA 患者4 例から得た培養滑膜細胞上において、TNF ファ ミリーの別のメンバーであるTWEAK(TNF-related weak inducer of apoptosis、現在はTNFリガンドスーパーファミリーメンバー12 と呼ばれている)とその受容体Fn14(すなわちTNF 受容体スーパーファミリーメンバー12A) の相互作用の影響を検討した。
TWEAK およびFn14 は、両群の患者の滑膜細胞上で発現していた。興味深いことに、TWEAK を発現していたのはCD45+ 細胞(滑膜白血球)のみであり、Fn14 は、CD45+ およびCD45– 細胞(滑膜線維 芽細胞)の両方に発現していた。TWEAK とその受容体の相互作用により、炎症性ケモカインおよびサイトカイン(インターロイキン6 および8、CC モチーフケモカイン2)の産生、細胞間接着分子1(CD54) の発現上昇、ならびにRA 患者由来の培養滑膜線維芽細胞の細胞増殖促進が誘発された。しかし、OA 患者由来の細胞では、これらの作用のすべてが認められたわけではなかった。
今後の研究により、RA 患者由来の滑膜細胞のTWEAK 発現CD45+ 白血球が、マクロファージかどうかが明らかになる可能性がある。TNF の阻害は、TWEAK あるいはFn14 の阻害よりも強力な抗増殖 作用を示すが、著者らは、抗TWEAK 療法により、RA 患者における滑膜細胞の過増殖を抑制できる可能性を示唆している。
doi:10.1038/ncprheum0848
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