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ビタミンD 内分泌系による自己免疫疾患のコントロール

Nature Reviews Rheumatology

2008年7月1日

Control of autoimmune diseases by the vitamin D endocrine system

生物学的活性型ビタミンD3 である1,25-ジヒドロキシビタミンD3[1,25(OH)2D3]は、骨およびミネラルの恒常性維持にとって重要なセコステ ロイドホルモンであり、多くの細胞の増殖と分化を調節し、免疫調節性および抗炎症性を示す。先天・適応免疫の応答に関与する細胞(マクロファージ、樹状細胞、T 細胞およびB 細胞)はビタミンD 受容体(VDR)を発現し、1,25(OH)2D3 の産生も1,25(OH)2D3 への応答も可能である。免疫応答に対するビタミンD 系の本来の作用は、獲得免疫を多面的に調節するとともに自然免疫を増強することである。疫学的エビデンスから、ビタミンD 欠乏とある種の自己免疫疾患の発生率上昇との間に明らかな関連があることが示されているため、自己免疫応答の調節における内因性VDR アゴニストの生理学的役割の解明は、臨床において利用できるVDR アゴニスト開発に方向性を与えるであろう。合成VDR アゴニストが示す抗増殖性、分化促進性、抗菌性、免疫調節性、抗炎症性は、関節リウマチから全身性エリテマトーデスまで幅広い自己免疫疾患、さらに可能性として、多発性硬化症、1 型糖尿病、炎症性腸疾患、自己免疫性前立腺炎の治療に利用できる可能性がある。

doi:10.1038/ncprheum0855

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