IgG4+多臓器リンパ増殖症候群:新しい疾患単位か
Nature Reviews Rheumatology
2008年12月1日
IgG4+ multi-organ lymphoproliferative syndromea new clinical entity?
ミクリッツ病は、涙腺と唾液腺の腫脹をきたし、単核細胞の顕著な浸潤を伴う臨床症候群であり、長い間、シェーグレン症候群(SS)の一つの症状であると考えられてきた。今回、日本の研究者は、血清中IgG4 濃度1.35g/L 超かつ罹患組織におけるIgG4+形質細胞の大量の浸潤という診断基準に基づいて、実際はこの疾患が、IgG4+多臓器リンパ増殖症候群(MOLPS)という異なる疾患であることを提唱している。
ミクリッツ病および関連疾患の日本人患者85 例の臨床および病理学的特徴の後ろ向き解析により、64 例のIgG4+MOLPS 症例が確認された。SS の診 断基準を満たす31 例と比較して、IgG4+MOLPS 患者は、口腔乾燥症, 眼球乾燥症、関節痛などのSS に特徴的な症状の発生率が有意に低く、リウマトイド 因子やRo/SSA およびLa/SSB に対する抗体などの免疫学的マーカーが、有意に低値であった。さらに、両疾患の罹患臓器の分布はほぼ同じであるが、IgG4+MOLPS 患者の組織における形質細胞の顕著な浸潤には、IgG4+/IgG 比> 50%であるという特徴がみられた。著者らは、IgG4+MOLPS がSS と比較して男性にはるかに高頻度で生じ、また重要なことに、IgG4+MOLPS には通常、グルココルチコイド投与が十分に奏効するとも述べている。
適切な治療を実施するうえでは、IgG4+MOLPS とSS を鑑別することは重要であろう。しかし、本研究の観察結果は、まず大規模な患者群を対象にして確 認する必要がある。
doi:10.1038/ncprheum0932
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