関節リウマチマウスモデルでは経口ワクチン投与が発症を防ぐ
Nature Reviews Rheumatology
2008年12月1日
Oral vaccine protects against disease in a mouse model of RA
定着因子Ag I(CFA/I)を発現するサルモネラベクターは、下痢ワクチンとして開発されたが、抗炎症作用を有することがこれまでに明らかになっている。Kochetkova らの研究で、関節リウマチ(RA)のマウスモデルにおいて、このワクチンが、II 型コラーゲン特異的CD4+T 細胞の機能を改変することによりコラーゲン誘発関節炎(CIA)を防ぐことが明らかになった。
ルモネラCFA/I を経口投与して免疫化したDBA/1 マウスでは、ベクターのみまたはリン酸緩衝食塩水を投与したマウス(対照群)に比べて、CIAの発現が抑制された。このことは、II 型コラーゲン投与後の軟骨変性および炎症性サイトカイン産生の顕著な減少により確認された。疾患が阻止されたマウスのリンパ節から精製したT 細胞を解析したところ、II 型コラーゲン特異的CD4+T 細胞の増殖が低下し、インターロイキン(IL)-4 やTGF-β などの調節性サイトカインの産生が亢進していたことが明ら かになった。また注目すべきことに、モノクローナル抗体によりIL-10、TGF-β、IL-4 を中和すると、サルモネラ–CFA/I 投与の疾患予防効果が低下した。このことは、CIA 抑制においてこれらのサイトカインが重要な役割を果たしていることを示している。CIA 誘発後の養子移植実験では、CD4+CD25- T 細胞およびCD4+CD25+ T 細胞サブセットが、疾患予防効果を付与し、IL-17、IL-27、および腫瘍壊死因子(TNF)の産生を抑制していることが示されたが、 この効果は、CD4+T 細胞全体を用いたときが最高であった。
本研究の結果は、サルモネラCFA/I ワクチンに、感受性マウスのCIA 発症を抑える治療効果があることを示している。
doi:10.1038/ncprheum0933
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