臨床的寛解状態でのRA 関節の悪化は滑膜炎の画像検査で予測される
Nature Reviews Rheumatology
2009年1月1日
RA joint deterioration despite clinical remission is predicted by imaging of synovitis
これまでの研究で、関節リウマチ(RA)では臨床的寛解状態にあるにもかかわらず、滑膜の炎症が持続しうることが示されている。このような患者群を対象とした縦断的研究から、臨床症状を示さない滑膜炎が関節破壊と直接関係すること、MRI および超音波検査で検出された炎症は、その後のX 線上の関節破壊の進行を予測できることが現在示唆されている。
通常のDMARD 治療を受け、リウマチ専門医が臨床的寛解状態にあると判定したRA 患者102 例を研究コホートに含めた。しかし、ベースライン時と1年後の両方の画像が得られた患者90例中17例(19%)は、全体的な疾患活動性に変化がなかったにもかかわらず、X 線学的に有意な関節破壊の進行が認められた。
12 カ月間で関節破壊が進行する可能性は、ベースライン時のパワードプラー法による血流シグナル(オッズ比(OR)12.21、P < 0.001)、パワードプラースコア(OR 4.0、P < 0.001)およびMRI で検出された滑膜炎スコア(OR 2.98、P = 0.002)と関連したが、ベースラインにおける臨床スコアとの間にはこのような関連はみられなかった。この結果から、臨床的寛解を得ても関節の悪化は持続することがあるというこれまでの結果が確認され、臨床症状を示さない滑膜炎がその原因として指摘された。
著者らは、RA の疾患活動性が低い状態で進行している炎症を検出するには、従来の寛解基準では感度が低いと強く主張し、代わりにMRI や超音波検査などの画像検査法を使用するよう提案している。
doi:10.1038/ncprheum0941
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