骨粗鬆症の新しい薬剤標的候補
Nature Reviews Rheumatology
2009年3月1日
Potential new drug targets for osteoporosis
骨粗鬆症は、罹患率の高く世界的な健康問題となっている。骨粗鬆症治療薬は骨吸収抑制薬と骨形成促進薬に分類される。骨吸収抑制薬は、破 骨細胞の活性を阻害し、骨吸収を抑制する。現在使用できる骨吸収抑制薬としては、ビスホスホネート製剤、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、カルシトニンおよびエストロゲンがある。また、さまざまな新規骨吸収抑制薬が開発中である。NFκB 活性化受容体リガンド(RANKL)は、破骨細胞活性化に関与する重要なサイトカインである。この分子に対する完全なヒトモノクローナル抗体denosumab について、主要骨折(予防)試験が終了している。カテプシンK(骨マトリックスの吸収に必要な破骨細胞酵素)の阻害薬、odanacatib の評価も進行中である。グルカゴン様ペプチド2 は、骨形成に影響を与えることなく夜間の骨吸収亢進に対する抑制能について評価が行われている。骨形成促進薬は、新しい骨形成を促進することにより作用する。米国で現在利用できる唯一の骨形成促進薬は、テリパラチド(組換えヒト副甲状腺ホルモン(PTH1‒34)であり、欧州では組換えヒトPTH1‒84が実用化している。PTH は骨芽細胞の機能および骨形成を活性化させる。現在開発中の新規骨形成促進薬は、sclerostin やdickkopf-1 などの抗体(骨芽細胞機能に重要な蛋白質の遺伝子転写を制御するWnt シグナルに関与する分子を標的とする)、カルシウム感知受容体のアンタゴニスト、およびアクチビン受容体融合蛋白(アクチビンアンタゴニストとして機能し、初期の臨床試験で骨形成促進薬として期待されている)などである。
doi:10.1038/ncprheum0977
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