Research Highlights

RA患者の心血管疾患危険因子に対するインフリキシマブの影響

Nature Reviews Rheumatology

2009年2月1日

Influence of infliximab on cardiovascular risk factors in patients with RA

関節リウマチ(RA)患者の心血管疾患(CVD)有病率は、従来のCVD危険因子で補正しても高い。Wongらの行った事後解析から、R A 患者におけるC V D 危険因子の1つである動脈硬化が、長期インフリキシマブ療法により有意に抑制されることが示唆された。動脈硬化は、従来のCVD危険因子とは独立した因子 であると考えられ、R A 患者の心血管疾患リスクに対する腫瘍壊死因子阻害薬の有益な効果を説明すると考えられる。

Wongらは、17例をインフリキシマブ3mg/kg静注群(0、2、6週目、以降は54週目まで8週間毎)に、9例をプラセボ群に無作為に割り付けた。プラセボ投与患者はすべて、16週目以降はインフリキシマブを選択できるものとした。心血管疾患リスクおよびRA疾患活動性の評価項目は56週目まで記録された。事後解析の結果、インフリキシマブ投与群の患者では、動脈硬化(脈派伝播速度で評価)が有意に抑制されたが、これ以外のCVD危険因子に変化はみられなかった。脈派伝播速度に影響を及ぼすために重要となる血 圧は、試験期間を通して安定していた。

標本数が少ないこと、プラセボ群の患者全例が16週目以降にインフリキシマブに変更したことにより、この研究結果には限界がある。脂質プロファイル、アディポネクチン濃度、ホメオスタシスモデル評価スコアは、試験の24週目まで記録されておらず、これは血管構造に対するインフリキシマブの初期影響を検討することができないことを意味する。著者らは、全例がメトトレキサートを併用していた(25mg 以下/週)にもかかわらず、インフリキシマブが心血管変化の原因であると考えている。

doi:10.1038/ncprheum0968

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