RAにおけるB細胞の充満に関する研究
Nature Reviews Rheumatology
2009年7月1日
B-cell repletion studies in RA
関節リウマチ(RA)患者においては、リツキシマブによるB細胞枯渇後、末梢血B細胞コンパートメントの過剰によりB細胞発生時のイベントが再現される。このことから、充満にはどのくらいの時間がかかるか、どのB細胞サブセットがいつ出現するか、それがどこへ移動するかを検討することが可能である。Arthritis Research & Therapy に掲載された論文によれば、このアプローチからRAの疾患経過も明らかにされるという。
Burkhard Möllerらは、RA患者にリツキシマブを投与し、その治療効果を検討した。患者10例では奏効せず、6例では中等度の奏効、19例では良好な奏効がみられた(欧州リウマチ学会(EULAR)基準による)。B細胞の充満は、ノンレスポンダーおよび中等度の奏効がみられた患者のほうが十分な奏効が得られた患者より早期に認められたが、その結果に有意差はなかった。しかし著者らは、リツキシマブ療法に対するノンレスポンダー、または中等度の奏効がみられた患者のほうが、十分な奏効が得られた患者よりも、親和性成熟CD27+IgD‒免疫グロブリンクラススイッチメモリーB細胞の数が多いことを示しており、このことからこの細胞が疾患病理に関与することが示唆される。
B細胞充満時は、末梢血中にはCD27-IgD+ナイーブB細胞が最も多くみられる。また、罹患関節の滑膜中では末梢血よりクラススイッチメモリーB細胞の数が多くみられる。Möller博士が説明するとおり、「滑膜におけるクラススイッチメモリーB細胞、おそらくpostgerminal-center細胞の蓄積は、RAに関する新しい知見である。これは、MHC拘束免疫介在性局所炎症プロセスが原因となるというRAの病理モデルと整合する」。
著者らは、RA患者のリツキシマブに対する反応をこの観点からモニタリングすることが、RAの再燃予測およびリツキシマブによる再治療の適切なスケジュール設定を可能にするために、医療施設において有用となりうるかどうかを検討する予定である。
doi:10.1038/nrrheum.2009.111
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